このブログの要約
〇GIGAスクールにおける成果と課題、世界の動向を整理
〇アンケート調査を施行。文末に結果表示
〇町におけるICT教育の成果と課題、アナログとのバランスについて質問。
〇端末は「文房具」のひとつ。アナログとデジタル双方の良さを最大限に発揮した教育を推進すると答弁
※やや長文であることをご了承ください。
一般質問の大項目2つ目、町のICT教育における成果と課題について質しました


まず前提として、GIGAスクール構想について整理いたします。GIGAスクール構想とは、文部科学省が提唱し、1人1台の端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育環境を実現するものです。
参考:文部科学省「GIGAスクール構想について」
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00011111.htm
町では現在、ギガスクール構想をもとに、1人1台端末端末を用いたICT教育を、小学校1年生から推進しております。ICT機器の利活用やAIドリルの活用促進、支援員配置などの活動は、令和7年度当別町教育推進計画の学習指導にも明記されているところです。
そのほか、教育のICT化については、令和5年度よりICT環境整備として、電子黒板の整備や、ネットモラル講演授業の実施などを行っているほか、西当別小学校のパソコン室の仕様変更、プロジェクター設置などの施策を行っております。また来年度に端末が一斉に更新されます。これまでタッチペンは付属されませんでしたが、タッチペンも貸与されることとなりました。昨年度予算で更新は終わっています。
一方で、ICT教育においては、問題点や課題も明るみになっています。
以下に整理します。
① 端末使用における教員間の格差といったITリテラシーや、ICT支援員の質的、量的な不均衡などの問題。
② 端末の破損、紛失、端末更新の費用負担等の問題。
③ 端末のセキュリティや、SNS利用によるトラブル、これは無断撮影や投稿、拡散などの問題や、カンニングの高度化、(メモアプリの使用、スクリーンショットなど)
④ 授業中の「ながら」使用(授業中にYoutubeやサイト閲覧、ゲーム、チャットの利用)
⑤ 視力低下や姿勢悪化、睡眠不足といった健康面
以上の問題が指摘されています。
これを踏まえ、今回わたくしは町内、町外の方を対象に、ギガスクール構想に関するアンケート調査を行いました。調査にご協力いただいた方々、この場を借りて御礼申し上げます。後ほど詳細と自由記述結果は別途掲載させていただきます。今回は要約を一部抜粋します。
〇総回答数は23件
〇ICT教育の満足度は、約半数が大変満足、やや満足している
〇ICT環境整備のなかで満足していることについては、電子黒板の設置、AIドリル「ミライシード」の導入において満足している
〇他方、感じている課題については、「視力低下、姿勢悪化、睡眠不足」といった健康面が最多を占め、次いでデバイス破損、紛失端末修理等の問題、紙を活用し手書きをより増やしたほうがいい、といった意見があった
〇町内では多くないが、端末のセキュリティや、授業中にサイトやYoutubeなどを閲覧する「ながら使用」について課題を感じている
〇1人1台端末の導入時期については、全体と町内で意見が分かれており、町内では適切と感じている方が多く、逆に町外の方は、「早いと感じている」とう結果が見られ、地域性や環境が反映しているものがあると考察される
〇端末の導入時期については、町内においては小学校1年生からの導入が多数を占め、次いで、小学校2年生、小学校3年生
という結果がありました。参考としてブログの最後に数値結果、自由記述を掲載しておりますので、お時間がありましたらご覧ください。
ここで世界各国の情勢を整理しています。
「2022年OECD生徒の学習到達度調査」によると、日本は2018年調査と比較して、科学的リテラシー、数学的リテラシ―、読解力ともに加盟国中1位または2位で、3つすべてにおいて前回調査を上回っています。しかしながらOECD加盟国平均は諸外国では軒並み下降しています。
注目すべきは、スイスやオランダ、イギリスといったヨーロッパ諸国が、2018年調査と比較して軒並みランクダウンしているところです。
このうちフィンランドでは、2000年調査で、フィンランドの子どもの読解力は世界一となり、2003年に数学的応用力、2006年からは科学的応用力も初回は2位と1位でした。ところが2022年調査には、3分野の順位がそれぞれ14位、20位、9位に下落しています。読売新聞の記事によると、「ある市では、パソコンを使った授業が週に20時間を超えることもあった。子どもの集中力が低下し、短気になるといったことが、その頃フィンランド全体で問題化し、デジタルに偏った教育への懸念が高まった。市は23年末、中学生と保護者、教職員計約2000人へのアンケート調査を行い、その結果、7割が紙の教科書を望み、教員の8割が外国語などの授業で紙を使いたいと回答。中学の物理や化学でも紙を復活させる動きがあった」とのことです。
そのほか、前述調査において2022年で3分野とも1位のシンガポールは、心身が未発達の子どもに悪影響が及ぶことを懸念し、小学生にはデジタル端末を配らないことを23年に決定しました。また韓国では、政府がAIを搭載したデジタル教科書の配布を始めましたが、教育省の調査では保護者の7割が「デジタル依存に陥る」ことを懸念し、5割が「教師と生徒のコミュニケーションを促進するものではない」と否定的だったとのことです。
以上の状況を整理すると、GIGAスクール構想には成果と課題が混在しており、町においても同様の現象があるとすれば、調査をしながら総合的に判断し、必要があれば方針転換等も必要な状況であると考えられることから、以下5点について質問を行いました。
質問項目
①令和2年より開始したGIGAスクール構想では1人1台端末によるICT教育の推進がなされたが、児童生徒へはどのような成果があったか
②一方で担当教員の能力による指導内容の差異、児童生徒の健康問題、端末の紛失や破損といった課題ある。現在把握している物理的な課題は
③SNSによるトラブルや、セキュリティ、授業中の「ながら」使用等といった課題もある。把握しているネット社会特有の問題はあるか
④1人1台端末を配布する時期については適切か
⑤昨今の欧米諸国において、紙の教科書を使用し手書きでの教育への回帰を検討する国が増えている。町の方針はどのように考えているか
以下、答弁内容と動画を整理します。
①成果として、児童生徒の理解度やペースに合わせた教育や、共同的な学びが深まっている。デジタル社会を生き抜くための情報活用能力が育まれている。不登校児童への対応や、外国籍の児童への言語支援などにも効果を発揮。
②破損から指導内容の差異を想定したうえで対応。予備端末の用意と、「学習道具のひとつ」として大切に扱うことを指導。教員研修の実施や、「一人一台端末活用目標」を設定し、組織的に活用。健康を守るための自己管理を含めた教育を推進
③SNSのトラブルは表面化していない。継続的に対策に取り組んでいる
④⑤国のGIGAスクール構想をもとに進めている。来年度、全児童に端末更新。ICTは学びの質を高めるための「道具」であり、紙とデジタルの特性を生かした、計画的な教育を推進
という答弁を得ました。
成果面における不登校児童や外国籍児童の対応という点については、その成果について理解するところであります。
紙とデジタルのバランスについては、国のGIGAスクール構想に則って、計画的な教育を推進するということでした。
②について、使用時間の基準についてどのくらいか、自宅での使用時間の取り決めについて再質問しました。
答弁:発達段階に応じた基準を定めており、町全体で使用している。家庭での使用については懸念を持っているので、家庭との協力が不可欠。
との答弁が得られた。
また、④について、タッチペンの配布について、当初配布しなかった経緯について再質問しました。教育部長が答弁しています。
教育部長答弁:当初(令和2年)におけるGIGAスクールのスペックにおいては、タッチペンが含まれていないかった。今回令和6年度のスペック基準においてタッチペンを標準装備とされたことから、来年度の更新において全員に配布する。
と答弁を得ました。
なお、この点については、予算委員会においても質問し、タッチペンの紛失時の対応について質問しております。
学校内での紛失は補充、学校外での紛失は弁償、ということでした。低学年は紛失のリスクが高いので、低学年までは学校で一括管理するなどの対策を提案しております。
⑤において、書き順や筆圧の習熟においてはアナログが必須である。総じて、町として今後ICT教育をどのように考えているかを伺いました。
答弁:国の方針に則る。あくまでも端末は「文房具」である。アナログ、デジタルの良さを最大限に発揮し、最良の教育環境を目指す。
以上の答弁をいただき、質問を締めくくりました。
5年を経たGIGAスクール構想ですが、成果と同時に課題があることは当然です。ただその課題をどのようにクリアし、成果を増やすことが肝要であると考えます。今回の質問を通して、町の学校教育がより良い方向に推進されるように、しっかりと指摘と提案をしていきます。
【参考】アンケート調査結果(数値項目、自由記述)








